金地院(こんちいん)に10月の3連休に行って来ました。
南禅寺の三門や疎水に向かうため、 金地院を通り過ぎてしまう人が多いのですが、特別名勝のお庭「鶴亀の庭園」や重要文化財もある素敵な場所です。
入り口すぐの池(弁天池)がモネの池ですか!?というくらい素敵なんです!
そして3連休なのに人がいない!落ち着く~。
拝観の案内に従って、お庭を散策できます。
苔がむしてて素敵なお庭。
この先に小さな滝があって、その水音とあいまって森にいるような錯覚に陥ります。
本当にここは京都市内なの!?とびっくりなくらい穏やかな空気。
さらに先に東照宮をお参りするためのプチ参道が見えてきます。
金地院は家康の遺言による3つの東照宮のうちのひとつです。
金地院東照宮の本殿には家康の遺髪と念持仏が納められています。
権現造り(ごんげんづくり)の黒い建物で、遠目にはちょっと怖い。
でも近づくと、日光東照宮のような素晴らしい透かし彫りがあり、剥げてはいますが鮮やかな色彩がわずかに見られます。
その凝った装飾に「すごい!」のひと言。
当時はさぞかし華やかだったことでしょう。
外観とは裏腹に、天井の鳴龍は背景も無くシンプル。
現代アートな雰囲気がありますが、江戸時代初期の狩野派の絵師・狩野探幽によるものです。
百人一首のような札の額は、三十六歌仙(さんじゅうろっかせん)。
江戸時代の土佐派を代表する絵師・土佐光起(とさみつおき)が描いたものです。
鶉(うずら)の絵に猫が飛びかかったという伝承が梅窓筆記にあるほど絵が上手い絵師が描いた、と聞けば近くで見たくなると思いますが、残念ながら入口から眺めるのみ。
でも実際に訪れてみると遠目からでも雰囲気が素敵なのは感じとれます。
石畳の階段を下って開山堂に来ました。
後水尾天皇(ごみずのおてんのう)の勅額を仰ぐ、左右の両側に十六羅漢像が安置されています。
徳川将軍家の姫・和子(まさこ)が後水尾天皇に嫁入りした関係から後水尾天皇なのでしょう。
開山堂の十六羅漢像はそれぞれ個性豊かな像のように感じるのですが、これまた近くで見れないのが残念。
でも眺め応えがあって、足を止めて見入ってしまいました。
夜になったら十六羅漢像達が動いてそうな雰囲気があります。
奥から三人目の方の手つきが気になります。。。道具を紛失しましたか?(笑)
金地院のいちばんの見どころ、特別名勝「鶴亀の庭園」です。
鶴亀の庭園は「書院式枯山水」の庭として有名です。
白砂は宝船を象徴するとともに、海洋をあらわしています。
真正面に大きな平たい一枚岩があり、さきほどの東照宮を拝むための遥拝石です。
右に鶴島、左に亀島があります。
鶴の背には常緑樹、亀の背には落葉樹が植えられていて、秋には少し紅葉も楽しめそう。
このお庭が静寂に包まれてまして、いつまでも座って眺めていたくなる穏やかさ!
人も少なくて贅沢な時間を過ごせました。
大人な京都を楽しむのにおすすめです。
鶴亀の庭園は小堀遠州が作庭しました。
小堀遠州は作事奉行(土木建築関係の仕事をする責任者)として活躍し、江戸時代の茶人でもあります。
遠州は洞水門(琴窟と呼ばれるものの原型と言われている)を発明したり、名古屋城の天守閣の建築の監督している多才なお方です。
写真は本堂(大方丈)から鶴亀の庭園を眺めているのですが、撮影禁止で撮れませんでしたが、本堂で襖や障子腰板には狩野派による金地の障壁画を眺めることができます。
また時間指定の特別拝観(通年)では長谷川等伯の襖絵「猿猴捉月図」や遠州の茶室「八窓席」を見ることが出来ます。(入り口で時間をお確かめ下さい。)
猿猴捉月図はおさるさんが可愛いんですよ!
南禅寺を訪れるなら 金地院にもぜひ立ち寄って頂きたいです。
住所 京都市左京区南禅寺福地町86-12(南禅寺の三門の手前)
アクセス 地下鉄東西線 蹴上下車 徒歩約5分、市バス 南禅寺・永観堂道下車 徒歩約10分
拝観時間 午前8時半~午後5時
拝観料 大人400円